最近では広告つきの動画配信プラットフォームが勢いを増しています。

アメリカのある映画監督が考えるように、広告は今後のエンターテインメント業界を大きく変える力を持っているのかもしれません。

ソース先

Edward Norton on future of streaming: Ads will ‘double’ Netflix’s market cap

https://finance.yahoo.com/news/edward-norton-on-future-of-streaming-ads-will-double-netflixs-market-cap-120033221.html

「広告」がエンタメ業界を変える

どの時代も「テクノロジー」がエンターテインメントの状況を一変させてきました。

例えば20世紀に入って「テレビ」が発明されると、だれもがお茶の間で気軽に娯楽を楽しむことができるようになりました。また「CG」が登場すると、私たちの想像を超えるような映像表現が生まれ、ここ数十年の間に発展した「ストリーミング技術」は、私たちがどうコンテンツを消費するかを大きく変えたと言えます。

そして今、私たちは”新たな変化”の真っただ中にいるのかもしれません。

この変化を直接肌で感じているのは、アメリカの俳優で映画監督のエドワード・ノートン氏です。

Netflixがすべてのプランで広告配信を行えば、同社の時価総額は現在の2倍になるはずです。広告プラットフォームがどれほど効果的かを人々が理解すれば、Netflixの時価総額は誰もが想像しているよりもずっと高くなっていくことでしょう。

たくさんのエンタメ企業が人工知能（AI）や広告配信モデルを重視し始めている、とノートン監督。そう、これからは「広告が動画配信サービスの市場を一変させる可能性がある」と彼は予測しているのです。

ノートン監督はEDO社を設立

エドワード・ノートン監督がどんな人なのか少し紹介しておきましょう。

ノートン監督といえば映画『バードマン あるいは（無知がもたらす予期せぬ奇跡）』や『ファイト・クラブ』『インクレディブル・ハルク』などに出演した演技派俳優で、2000年には映画監督デビューも果たした才能あふれる人物です。

またテレビ広告を専門とするメディア分析会社『EDO』の共同創設者でもあります。

EDO社は『ディズニー』や『アマゾン』『パラマウント』『AT&T』など多くのクライアントを持ち、広告効果に関するデータ提供を行っています。

広告なしの動画配信は限界に近い

ノートン監督がEDO社を作った理由は2つあります。

・広告や宣伝が途中で入る動画配信サービスはメディア市場でますます支配的になる

・一攫千金を狙って多くの企業が動画配信サービスを始めた。最終的に誰が勝つかは予想できないが、どの業者も広告分析会社のデータを必要とする

『Netflix』も『Hulu』も『Disney+』も高いプランに加入すれば広告なしで映画やドラマが視聴できます。しかしもはや広告なしの動画配信モデルは限界に近い、とノートン監督は海外メディアYahoo!Financeとのインタビューで語っていました。

あらゆることがサブスクリプションだけでは不可能だと人々が気付き始めています。これは劇的な変化です。そのためどの動画配信プラットフォームも広告付きモデルに移行し始めています。

広告付き動画配信が主流になる

さらにディズニー社CEOのボブ・アイガー氏も過去2回の決算報告会で「ストリーミング事業における広告の巨大な可能性」について語っていた、とノートン監督。

アイガーCEOはそこで「広告付き動画配信は広告主の夢」だとまで述べていたそうです。

広告付き動画配信がディズニーにとって最大の成長戦略の1つとなっている、とボブ・アイガーCEOが話しているのであれば、人々はそれに注意を払うべきです。思うに、彼の言葉が本当に意味することは、今から5年以内にリニアTVが消えてしまうということなのです。

「AI」にどう向き合うべきか

ハリウッドでは人工知能（AI）の利用が激しい議論を呼びました。

AIで俳優たちの姿や声をスキャンすれば、それを永遠に無償で使い続けることも技術的には可能です。またAIに膨大な量の映画やドラマを見せて、新しく脚本を書くように頼めば、瞬時にそれをやってのけてしまうでしょう。

このような未来が当たり前になれば、脚本家や俳優たちにとって死活問題です。そのため全米映画俳優組合（SAG-AFTRA）が2023年5月から約150日間にわたりストライキを起こしたのでした。

「AI」は数あるツールの1つ

しかし一方で、ノートン監督はAIに関してはプラス思考です。

AIは芸術作品を損なう技術ではなく、むしろクオリティを底上げしてくれるツール（道具・手段）だと考えています。

人間の想像力と共感があって初めて素晴らしい作品というものが作られます。AIはCGのように数あるツールの1つとして見られるようになるでしょう。CGが発明されたからといって、写真が台無しになったり、映画撮影が無意味になったわけではありませんよね？

実際に有能なアーティストの手にかかれば、AIも刺激的な作品を生むための道具でしかありません。

ノートン監督が「偉大な芸術家」と呼ぶ映画監督のベネット・ミラー氏は今年、OpenAI社の『DALL-E』と呼ばれる画像生成AIで写真アートを制作し、展覧会を開く予定です。

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