どうもJINです。
今回はトレイダーズ証券で現役の為替ディーラーとしてご活躍中の井口喜雄さんにお越しいただきました。
なんだかめちゃめちゃ怖そうな雰囲気をお持ちの方なんですけど、れっきとした現役為替ディーラーの方です。あとめっちゃ良い人です。念の為。
以前から実は色々とお世話になっていますが(トレイダーズ証券は僕の為替の主要取引口座)、今回満を持して僕のYouTubeチャンネルでのコラボが実現しました。
そんなわけで今回はあまり実態が知られていない為替ディーラーのアレコレについて深く聞いていこうと思っています。
為替ディーラーって実際何をやっているの?
まずは一番最初に聞きたいことを聞いてみました。それが
為替ディーラーの仕事は一体何なのか?
です。
プライス(価格/値段)の配信
まず世界中で取引されている為替の価格を、勤めている証券会社のお客様に対して証券会社としての価格を決めて提示する必要がある、との事です。
為替の世界において通貨の価格というのは実は一つではなく、いわゆる相対取引と言われるものが行われているので基本的には統一されていない状態になっています。
※相対取引とは、取引所を通さずに直接”売り方”と”買い方”が当事者間で取引を行うことです。
そうして様々な取引が行われることによって世界で言われる1米ドル○○円、という形式に収束していく、というのが実態です。
井口さんは証券会社としてのそのレートを決めて提示するという仕事をしているということでした。
それを提示した後にトレードによって売り買いが行われ、世界での平均値と類似する価格になっていくというわけですね。
なので銀行や証券会社はそれぞれ自身の価格を決めてレートを提示しているということです。どこかに統一価格があるというわけではないという事ですね。
スワップ取引
スワップ金利、スワップポイントなどと呼ばれるものは、通貨ペアの2国間での金利差によって得られる(または支払う必要のある)金利の事ですが、これを管理している仕事をしているということです。
例えばトレーダーがポジションを持つと、購入価格はそのままですよね。1米ドル100円の時に1万通貨を買ったとしたら、そのポジションの購入時の価格は1米ドル100円のままです。
しかし、実際の世界というのはそうではありません。
為替取引は必ず決済日というものを決めなければいけません。FXにおける決済日とはスポット取引(現物取引)と呼ばれているもので、基本的には2営業日後に決済をしなければいけない取引になっています。
しかしトレーダーが毎2営業日後に決済をしなければいけないというのはかなりの手間です。
井口さんを含めた現役の為替ディーラーさんたちはこうした取引を代わりにやってくれているそうです。
ざっくりいうと、買われているポジションは一度売って、買い直す。売られているポジションは一度買って売り直す、という作業をやっているそうです。
こうした作業をしないと、顧客に対してスワップ金利(スワップポイント)を付与できないとの事でした。
こうして金利差の損益を確定させて顧客に付与、または徴収することになります。
日々もらえているスワップ金利はこうした為替ディーラーさんの作業によって得られているわけですね。もちろん支払う必要がある場合もありますけども。
売買による収益
そして最後はディーラーと呼ばれている故の作業、売買取引です。
わかりやすく言えば、安く買って高く売る、といったトレードで儲けることを狙っているということですね。
僕ら個人投資家が投機トレードとしてFXをしているのと同じようなことだと思いますが、それを会社として、仕事としてやっているそうです。
僕、この時に思ったんですが、そういうノウハウがあるなら個人でやったほうが儲けられるし出勤しなくて良いし、ソッチのほうがどう考えても良いと思うんですけど…?
というわけで直球で質問してみました。
実際井口さんも結構周りからよく言われる事のようですが、井口さん個人としては
「個人投資家のほうがめっちゃハードだと思う」
との事です…。
確かに辛いわ…つらすぎる…
孤独だし、常にチャートの事を気にしてしまうし、休まるときなんて殆ど無いに等しいこの日々。辛い以外の何物でもない。
しかし井口さん含む現役の為替ディーラーさんたちは証券会社でチームとして動いているとの事で、孤独ではないことは勿論、動かせる金額もかなり違うそうです。
会社でいくら動かして、最大いくら負けたのか?
ここまできたら気になることはコレですね。
いくら運用していて、いくら負けたことがあるのか…?
詳細には答えてくれませんでしたが
〇〇億円
を動かして取引しているそうです。
ぎええええ!動画でもピー入れたけど凄い金額だ恐ろしい。
そんなにお金あったら負けないんじゃないですか…?と思ったらそうでもないみたいで。
お金があれば負けないかと言うと、有利なことには変わりないですが、リスク管理も大切。会社として、チームとしてかなり厳しいリスク管理の中でトレードをしているそうです。
そして気になる最大負け額。
最大かどうかはわかりませんが、爆損した経験があるかどうかを聞いてみました。
具体的には教えてくれませんでしたが、爆損したことはあるそうです。
うひぃ…オレだったらもう次の日出社しないかもしれんわ…。
井口さんも辞表を書いて出社したことはあるみたいですw
今でも現役でディーラーをやられているということはその状況は回避できたってことでしょうけど、それだけ辛い状況だったんですなぁ。
ちなみにトレード時は東京時間開始からニューヨクの始まりくらいまではチャートに張り付いているそうです。
えっ、それって…時間的に大丈夫なん…あっ…[自主規制]
※井口さん含む現役の為替ディーラーさんたちはルールを守ってお仕事をしています。
1日中チャートを見ている必要はあるの?
朝から晩までチャートを見る必要は無いと言われる事もありますが、実際為替ディーラーの方はどうなんでしょうか?
井口さんによると、短期勝負でのトレードになることが多い事から集中してチャートを見ている必要があるそうです。
逆に見ていないと不安になってしまうぐらいだとか。
病気じゃないですか。
僕もですけど。
為替ディーラーになる前からもその後も、ずっとチャート漬け人生だそうです。
わかるわ~。そうなる気持ちわかるわ~。僕も歴は浅いですがずっとチャート見てないと禁断症状で泡吹いちゃいますからね。嘘ですけど。
でも相場が気になってしまうのはトレーダのサガってやつでしょう。
しかし井口さんの場合は為替ディーラーならではの悩み方として、不安で見ずにはいられない状況なんだそうで。不安を解消したい、というのが主な理由だそうです。
短期で動いた時に取れないという機会損失すらも井口さんにとってみればリスクの一つということです。
取れる時に確実に取っていく為替ディーラー…かっこいいけどめちゃめちゃ精神がすり減りそう。個人で精神ズタボロの僕がやったら多分廃人になってますね。
扱っている金額もそうですし、スケールの違う話過ぎてビビるわ…。
休日の暴落時はどうしてるの?
通常は週休二日制で働いていると思われるサラリーマンですが、年末年始なんかも、お正月休みなんかはあるんでしょうか?
為替は海外為替市場なども含め多少の動きがあります。休み中にバッドニュースが出てクラッシュなんてことも少なくありません。
井口さんはそんな時にどうしていたのか?
結論から言うと、会社に居たそうです。
こうした世界情勢不安がある際には旅行などには一切行かずに会社でとにかくディーリング(取引)をしているとのことです。
休日も働いてるなんてめっちゃブ○ックじゃないですかーーー!!!
と言う訳ではなく、為替の値動きが少ない時には積極的に休みを取っているということです。
な=るほどそういうことですね~。勘違いするところだったわアブね~。
ちなみに2019年の相場はそこまでボラティリティがあったわけではないので、ワリと暇な日が多めだったかも?ということでした。
人工知能(AI)によるディーリングについて
さて、昨今ファンドや機関投資家なども含めAIを運用しているところが増えてきていると聞いています。
現役の為替ディーラー井口さんもそれは実感しているようで、AI化の流れになってきているようです。
僕が気になるのは、AI対人ってのは成立するのか?ってことですね。
まず井口さんが言うに、AIと人は現時点では全然違うものだそうです。
機械化されている以上はスピードは人間では勝てない領域ですし、安定して利益を出すのであればAI化が一つの正解であると考えているのも事実のようです。
しかし井口さんは未だに人が介した方が収益になる、と思っているそうです。
まだまだ未熟なAIも多く、このニュースでその動きするの!?ってなるものも少なくないようで、そういった動きに対してはAIが収益化できない部分の一つだそうです。
しかし、人間であればそういう値動きのときもキッチリ利益を取っていける。
大まかな例で言いますが、AIが動き出す。しかし市場の反応は薄く空回りして買い戻す、という動きをします。人間のディーラーはその買い戻しを狙っていくことが出来るので、未だに人間のほうが収益を得られる事が多い、と。
人工知能の増えてきている相場の中で、そういう戦い方も必要になってきていると感じている、との事でした。
そんな感じです。かっこいい~~。人工知能と戦う現役の為替ディーラーかっこいいわ~~~~。
為替ディーラーを目指す人っているの?
なんだか四六時中チャートが気になってしまうし休日も出金の可能性がある為替ディーラーになりたい人って、未だにいるんでしょうかね?
井口さんいわく、少なくともトレイダーズ証券さんの若手の方々は、なりたいって思っている人が多いそうです。
でも自分の姿を見てるのであれば、よくディーラーになりたいって言えるなあ、と仰っていました。
一言、やめとけ、だそうですw
それでも相場から抜け出せない人はたくさんいるんだろうな。
僕は、いつになったら区切りになるのか検討もつきません。
せめて借金してまでやらないようにしないと。いや流石にそんな事はしないけど。
取引する時に何を見ている?
ここからはより具体的なトレード方法についてです。
僕なんかは中長期保有型の、いわゆる「スイングトレード」と呼ばれるスタイルです。
しかし井口さんは「デイトレード」くらいの、短い足を見ながらの取引をしているそうです。
状況に応じてマーケットのテーマだったりリスクだったりを見極めてトレンドなどを追ったりなど、手法は様々ですが、基本的には短期でのトレードをしていると。
主に気にしているのは「ポジションブック」と呼ばれる、トレイダーズ証券さんがみんなのFX上で提供している参加者の保有するポジションの比率が大まかに確認することが出来るツールです。
オーダーブックと呼ばれる、現在の注文がどのぐらい入っているのか大まかに見られるツールがあるのに対して、こちらは実際に保有されているポジションが見られるツールとなっています。
これで何を注意しているのか?という点ですが
「ゆっくり動く時は大勢に付いていけば良いけど、大きく動くときには反対サイドにいないと勝てない」
という金言を残してくれました。
偏ったポジションがいつか決済されるってイメージだけは常に持っていて、レンジで動いている間は良いんですが大きく動く時がやはり利益が大きい時なので、大衆の逆にいられるかを考えながらトレードしているようです。
※レンジとは、レンジ相場とも呼ばれ、一定の価格帯を行き来する相場のことです。もみ合い相場やボックス圏相場などと呼ばれたりもします。
FXはゼロサムゲームです。勝つ人の裏で必ず負ける人がいるんです。
ポジションを耐えて耐えて耐え抜こうとしている人はプロは見抜いて突いてくるわけですね。これが相場の世界や。なんて厳しい世界なんだ。
まぁかく言う僕もスーパースイングトレーダーで損切りは負けだと思っていますのでめっちゃ持ってますけどね。
お願いです刈らないでくださいお願いです…
井口さんが言うには、常に札束を持って殴り合っているんだという意識は持っておいたほうが良いかもね、ということでした。
実際スイングトレードってどうなの?
ここまで聞いてしまうと短期トレードのほうがマシなように思えてしまいますが、井口さんから見てスイングトレードってどうなのか?を聞いてみました。
井口さんとしては
- そういったトレードスタイルであることは間違いではない
- 金利を得るために放置しておくのも一つの戦略
- 基本的な知識を知らずに買ってしまうケースがある
- レバレッジを理解しよう
- ポジションサイズを押さえて買おう
との事でした。
欲張って買いすぎんじゃねーよ、と
そういうことですね。僕はそう解釈しました。
かく言う僕も高金利通貨のトルコリラに手を出して気絶トレードでもしようかと思っていたら暴落してロスカットされて散々な目にあいましたからね。あれは本当にしんどかった。
流石に学びました。しっかりポジションサイズを考えて買う。コレ大事です。
ちなみによく分かってない人から、
だったら下がってるタイミングで買って上がるのを待てば勝ち組じゃん!
って言われることもあるんですけど
それができたら負けてねーよ!
あんな暴落してる時に落ちてるナイフを掴むような真似ができた人が居たら僕に連絡下さい。
そしてFXを教えて下さい。お願いします。
先生、僕は上達しているんでしょうか?
最後に僕のトレードについて色々とお話させて頂きました。
以前から見ていただいていたということですが、その頃から比べると上手になった、とのことでした。
実はFXは生き残る事がかなり難しいと言われています。年間で約半分が退場するくらいの難易度なんて言われていたりもするわけです。
そんな中、まず僕が生き残っていることが素晴らしい、と。
そんなに難しいことなの…?って思わず思ってしまいましたが。
しかしその原因は「ルールを知らずに入場してきているから」という事です。
気軽に入ってきた人達はポジションサイズやレバレッジ、リスク管理・資金管理が疎かになっているケースが多く、退場していく事が多いと。
理にかなったポジションサイズにしてちゃんと損切りして資金管理ができれば、すぐに退場してしまうという事は実は無いそうです。
大切なのは、まずは生き残ること。
生き残ることで知識・スキルが蓄えられていきます。そうして防御力を高めていく。そうすれば攻撃力は自然に付いてきます。
とにかく生き残ること。
トレードスタイルにもよりますが、損切りなども視野に入れてしっかり管理した上で次の機会を狙えるようにすれば、自ずとうまくなっていくと思います。
僕もここまで続けてきて少しずつですがうまくなってきました。今年の成績もかなり良くなっています。
トレードに悩んでいる皆さん、もしこの記事を見ていたら、まずはルールの把握。そして自分のトレードスタイルの確率。最後に生き残ることをまず意識したトレードを実践してみてはいかがでしょうか。
・・・。
さて、井口さんとの対談は実は2回行われています。今回のは第1回目をご紹介しました。
次回の記事では第2回目をご紹介させて頂きます。
動画もよかったら見てみてくださいね。
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