FXのスプレッドとは?取引手数料とは違うの?

今回のテーマは、FXにおけるスプレッドについてです。

以前の記事ではスプレッドの詳しいことについて触れていなかったのと、記事中に

スプレッドとは、外貨に交換するときの買値と売値の差のことで、ここでは外貨預金で発生する為替手数料と同じような認識で大丈夫です。

と説明してしまったため、皆さんの中で“スプレッド=手数料”ということになっているかもしれません。

今さらだけどFXとは?FXって何なの?FXの魅力についてお話しします!

FXをこれから始めようと思っている方の中には、

「国内の証券会社のサイトを実際に見てみたけど取引手数料が無料って書いてあるけど、結局スプレッドってなんだ…?」

とさぞ混乱されている方もいらっしゃることでしょう…

ですので、今回はスプレッドについて分かりやすく解説していきます。


FXを多少勉強した人は必ず聞いたことがあるスプレッドについてです。
この記事ではスプレッドがどういう仕組みなのか?何故広がってしまうことがあるのか?
なるべくわかりやすく説明していきます。


目次

知らなきゃ損!スプレッドとは?

スプレッドとは英語では Spread と記し、広さ・幅といった意味となるのですが、FXにおけるスプレッドとは

外貨に交換するときの買値と売値の差のこと

です。

どこの証券会社やFX業者も、このスプレッドが1つの収入源となっています。

図1:注文画面(トレイダーズ証券 みんなのFX)

実際の注文画面を用いて説明すると上の画像の場合、
米ドル/日本円の取引で、スプレッドが0.2銭ということが分かりますね。
(買いが108.925円、売りが108.923なのでその差0.002円 = 0.2銭)

例えば上の図の通り、108.925円で1ドル買ったとしましょう。

この時、全く値動きが無いタイミングで決済注文する(買ったドルを売る)とします。

このタイミングで決済注文をすると、

「値動きしていないから±0円だ!!」

と思ってしまう初心者の方がたくさんいると思います。

残念ながら違います!!!!!

お気づきの方はいるかもしれませんが、
取引を開始した時点でスプレッド分のコストが取られてしまうのです。

つまり、表示されている売値でドルが売られるということです。

今回108.923円が売値ですので、この価格で決済されてしまいます。
ということは、国内のFX業者や証券会社で1万通貨で取引した場合、20円の損失となります。

「それって結局手数料じゃないんですか…?」

と疑問に思いますよね。私も思います。

ですが、国内の証券会社やFX業者ではスプレッドは手数料ではなく、
流動性のある取引コストとしています。

改めて説明してみると言い方だけのような気がしますが、郷に入っては郷に従いましょう。

スプレッドは手数料ではなく、取引コストです。

物事をそのまま素直に受け止める柔軟さも世の中大切ですよ!


現金に置き換えて考えると両替手数料みたいなものです。別の通貨に替える場合には手数料がかかるんです。
海外で両替したことがある人は外貨を買う時・売る時でレートが違うのを見たことがあると思いますが、感覚的にはアレです。
利益の面も考えると、物を売り買いする時には必ず差がついているものなんです。

FX上ではそれを取引コストと呼んでいるのでややこしいですが正直呼び方が違うだけです。
まずは取引をする上では多かれ少なかれコストがかかるよ、という認識を持っていればいいんじゃないでしょうか。


スプレッドの“銭(せん)”や“pips”について

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実際に上記のサイトを見ていただきたいのですが、

業界最狭水準スプレッド!USD/JPY 0.2銭!!
※ USD/JPYとは、米ドル/日本円のこと。

“銭”単位で表記されていたり、詳細なスプレッド一覧を見てみると、

EUR/USD ユーロ/米ドル 0.4pips
GBP/USD ポンド/米ドル 1.0pips

と、上記のように“pips”単位で表記されていますよね。

国内の証券会社やFX業者では“銭”単位での表記が多い印象ですが、これらはどのように使い分けているかというと、

外貨/日本円のときにのみ“銭”単位で表記していることが分かるかと思います。
それ以外の外貨/外貨の通貨ぺアだと“pips”単位で表記しているのです。

日本では円より下を“銭”と表記するので、FXが初めての方でも米ドル/日本円の取引コストが0.2銭かかるということを分かりやすくしているためだと思います。

私は勝手にそう思っていますが実際は違うかもしれません。

では、問題の「“pips”とはなんぞや?」と言いますと、

pipsとは、通貨ペアの価格の変動を定義するために使用される世界共通の単位のことです。

つまり、外貨/日本円の通貨ペアでも“pips”単位で表記できるのです。


ぴ、ぱぴp・・・ぴぴす?え?突然の英語に困惑・・・

ピップス、ピプスって読むんだぞ。パーセンテージ・イン・ポイント(Percentage in Point)の略らしい。


銭、だけだと対日本円の通貨ペアにしか使えないからね。
通貨の変動を表現するための単位って感じです。


1pips動くとはどういうことなのか?

では、価格表示でどの桁が動いたら1pips動いたことになるのか、実際のプライスボードを用いて説明します。

外貨/日本円の通貨ペアの場合

図2:外貨/日本円の1pips(トレイダーズ証券 みんなのFX)

外貨/日本円の通貨ペアの場合、プライスボード上に表示されている価格の小数点第二位の数字が変わると1pipsの値動きがあったということになります。

もちろん、小数点第一位の数字が変わると10pipsということですし、
その上の一の位が動いた場合、1円(100pips)の値動きがあったということになります。

外貨/外貨の通貨ペアの場合

図3:外貨/外貨の1pips (トレイダーズ証券 みんなのFX)

外貨/外貨の通貨ペアの場合、プライスボード上に表示されている価格の小数点第四位の数字が変わると1pipsの値動きがあったということになります。

小数点第三位が変動すれば10pips小数点第二位は100pipsの値動きがあったということが分かります。

主要通貨の1pipsあたりの金額

ここでさらに、各通貨の1pipsあたりの金額を整理して見てみましょう。

【各通貨の1pips】
・日本円:0.01円(1銭)
・米ドル:0.0001米ドル(0.01セント)
・ポンド:0.0001ポンド
・ユーロ:0.0001ユーロ
・豪ドル:0.0001豪ドル

などなど…
全て書いたらキリがないのでこれくらいにしておきましょう。

ちなみに、“銭”や“pips”はいろいろな場面で使われますのでしっかりと覚えておきましょう!


つまりあの売りとか買いとかで光ってるプライズボードとかいうやつの大きい数字の右側が1pipsってことね!
な~んだ!簡単だお!


別にそれで覚えても構わんが、トレーダーや著書の解説はpipsで表現している場合が多い。
30pipsと言われてその通貨がどれだけ変動したか?とか、
その幅の利益・損失は他の通貨ペアではいくらになるのか?とかも理解できるようになる
から覚えておいたほうがいいぞ。


スプレッドの原則固定・原則固定(例外あり)とは?

国内のどの証券会社でも表記されている、

スプレッド原則固定!(※例外あり)

という言葉についてです。この言葉を聞くと、

「スプレッドって元々固定されているものじゃないの!?」

と驚かれる方は少なくないと思います。

海外の証券会社やFX業者では変動スプレッドというものを採用しているところが多く、
その日の値動きなどによってスプレッドの開きが日によって違ったりします。

では、気になる方が多いであろう国内の証券会社やFX業者でスプレッドが変動する例外についてここからお話していきます。

スプレッドが変動するケース

スプレッドが変動するケースは、主に以下の3つです。

  • 重要な経済指標発表の前後のとき
  • 市場の流動性が低下したとき
  • 天変地異などの自然災害の発生したとき

要は何も起きなかったら固定されてるけど、大変な事態になったら広がることもあるってことなんだよね
大暴落相場とかは気をつけないとね。過去には想像以上にスプレッドが開いていることもありました…


スプレッドが開きやすいケースで、どのような特徴があるのか実際のチャートを見て確認していきましょう。

天変地異などの自然災害が発生したとき

図4:2011年3月11日以降のチャート(トレイダーズ証券 みんなのFX)

震災を例に挙げるのも大変恐縮ですが、身近な例で東日本大震災の時の米ドル/日本円のチャートを挙げさせていただきます。

短期間のチャート(5分足チャートや15分足チャートなど)を例に挙げたかったのですが、ヒストリーデータの関係上、月足以上でないとチャートが取得できなかったため、米ドル/日本円の月足チャートにて解説させていただきます。

災害発生当日の値動きは通常と変わりませんが、災害発生後の3月17日に急激な円買いで急落していることが分かります。

要因としては、地震が発生した後、津波や原発事故などのニュースが全世界に発信され、“レパトリエーション(通称:レパトリ)”が起きていることが分かります。

※ レパトリエーション…海外に展開している自国の企業が本国に資本や利益を送還すること。

レパトリエーションについて後日記事にまとめますが、自然災害が発生すると災害が発生した国の通貨の買う傾向があるので急騰や急落が起こりやすいです。

重要な経済発表の前後のとき

こちらは2020年1月10日金曜日の米ドル/日本円の15分足チャートです。

図5:雇用統計の指標発表時の米ドル/日本円の15分足チャート(トレイダーズ証券 みんなのFX)

この日に何があったのかというと、22:30に重要なアメリカの経済指標発表がありました。

FXをやっている方ならご存知だと思いますが、毎月第一金曜日にはアメリカ雇用統計の指標発表があります。

この指標はその名の通り、雇用情勢を示す指標で景気状況を探る上で重要な指標のひとつです。

アメリカの景気の実態を示す最新の数値として為替だけでなく、株式、金利といった様々な市場にも影響を与えるため注視されます。

そのため、指標発表前後で乱高下していることがチャートで確認できます。

ですので、このような重要な経済指標発表の前後でも急騰や急落が起こりやすいです。

市場の流動性が低下したとき

8月や12月のバケーションシーズン(夏休みや冬休みの時期こと)や、各国の祝祭日など市場参加者が少ないとき市場の流動性は低下します。

あまり値動きはありませんが市場参加者が少ない分、市場に影響する重大なニュースや要人発言があった際に動きが一方的に出やすいため急騰や急落が突然起きます。


ふむ。つまり相場に対して急激な取引量が発生する時に開く場合があるってことですね。
そしてそんな時に何故スプレッドは開いてしまうのか?このあたりもしっかり説明していきます。


スプレッドはなぜ広がるのか?

ここまでの説明で気づいた方が多いと思いますがスプレッドが広がるケースで共通していることがあります。

それは“相場の急騰・急落”です。

通常FXの注文は直接通貨を売り買いしているというわけではありません。

証券会社やFX業者がトレーダーの注文を受けてから、銀行を通じて通貨の注文を確定します。

そのため、相場が急激に動き始めたり相場変動が激しい重要経済指標の前後になると、システム側の銀行との注文が間に合わなくなる事態が発生します。

つまり、トレーダーがした注文と実際の注文にズレ(これをスリッページといいますが生じてしまい、証券会社やFX業者が損失を被ってしまうということです。

各証券会社やFX業者がこの損失リスクを防ぐために行っている対策としてスプレッドが広がってしまいます。


注文がズレてしまったのを全部業者が補填してたら破産しちゃうか…そりゃそういう制度にするよな…
慈善事業でもないし、これはもう取引する上では仕方ないと諦める部分や…


スプレッドは原則固定された取引コスト!

日本の証券会社やFX業者をベースにここまでお話ししてきましたがいかがでしょうか。

スプレッドは、手数料ではなく流動性のある取引コストということが伝わりましたでしょうか…

取引する度に必ずかかるものなので、スプレッドは狭いほうがいいです。

どちらかというとこのスプレッドの差がどのぐらいなのか、というのが証券会社やFX業者を選ぶ基準になっていますね。

ちなみに手数料は無料!と謳っている会社は多いですが、これはスプレッドとは別の話です。ほとんどの業者が手数料無料ですよね。

ただ、先程お伝えしたようなタイミングでスプレッドが広がってしまうことがありますが、予測できるケースであればその時だけ取引を避けることも可能だと思いますので上手く立ち回って賢く取引しましょう!

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